2026/09/28
タイトル:2026年9月の発達障がいグループワーク
2026年9月6日、クリニック奥の多目的室にて、月例の発達障がいグループワークが開催されました。
今回は男性5名、女性7名のご参加があり、ご本人、ご家族、それぞれの立場から発達障がいについて学びたいという思いを持った方々が集まりました。
今月のテーマ
ASDの治療について ~薬物療法と非薬物療法~
理事長によるミニ講義
グループワーク前半は、理事長によるミニ講義です。
今回は「ASDの治療」をテーマに、薬物療法と非薬物療法の両面からお話がありました。
講義ではまず、ASD・ADHD・LDの違いや、それぞれの特性が重なり合う関係について図を用いて説明がありました。発達障がいの概念がどのように変化してきたのか、自閉症研究の歴史や「自閉症スペクトラム」という考え方が生まれた経緯についても紹介されました。
続いて、薬物療法についてのお話がありました。
ADHDでは、海馬の働きに関わる薬によって症状の軽減が期待できる一方、ASDそのものを治療する薬は現在のところありません。しかし、ASDに伴うフラッシュバックや強い不安、癇癪などの二次的な症状に対しては、少量の向精神薬や気分安定薬が有効な場合があることが説明されました。

また、ASDの研究で注目されているオキシトシンについても紹介されました。期待された治療法が耐性や副作用などの課題で研究が進まなかった経緯や、新たな研究の方向性についてもわかりやすく解説されました。
講義の中で印象的だったのは、参加者からの「薬で人格は変わるのでしょうか」という質問でした。
理事長からは、「発達障がいそのものが治るわけではありません。目指すのは“目立たない発達障がい”です」という説明がありました。血液型が変わらないように、発達特性そのものはなくなるものではなく、生活しやすくなることを目標に治療や支援を考えていくというお話でした。
さらに、診断を受けたときに落ち込む必要はないこと、社会で活躍している人の中にも発達特性を持つ人は少なくないことなど、前向きな視点も共有されました。
講義中は質疑応答も活発に行われ、服薬による疲労感や薬の効果が切れた後の対応など、日頃の困りごとについて具体的な質問が続きました。
非薬物療法 ― 環境を整えるという考え方
講義後半は、非薬物療法についてのお話でした。
ASDのある方は、全体をまとめて理解することよりも、一つひとつを整理して理解することが得意な場合があります。そのため、仕事や生活の手順を図やフローチャートで「見える化」することが有効であり、この方法は発達障がいのある方だけでなく、多くの人に役立つ工夫であることが紹介されました。
また、欧米と日本では教育や職場文化に違いがあり、多様性を前提としたコミュニケーションのあり方についても話が広がりました。日本でも少しずつ変化が見られる一方で、まだ偏見が残っている現状についても触れられました。
参加者からは、高知能(ギフテッド)と発達障がいの関係についての質問もあり、それぞれが抱えやすい困りごとについて説明がありました。
後半 グループワーク
後半の1時間はグループワークです。
簡単な自己紹介から始まり、「講義で頭がいっぱいになった」「もっと知りたい」という感想が聞かれるなど、学びを深めたいという雰囲気の中でスタートしました。
今回は「家族」が大きなテーマとなり、多くの体験が共有されました。
- 自分や家族の特性について理解を深めたいという思い。
- 子どもが診断を受けたことをきっかけに、自分自身の特性に気づいた経験。
- 診断を受けた当初はショックだった一方で、「理由がわかってほっとした」という気持ちになったこと。
- SNSでは「診断を受けて安心した」という声を多く見かけること。

参加者同士の経験談を通して、「家族の中で小さな失敗には寛容でいること」「一方で社会生活で守るべきことには毅然と向き合うこと」といった、家庭での関わり方についても意見が交わされました。

安心して語り合える場を目指して
月例のミニ講義とグループワークは、専門医による学びの場であると同時に、参加者同士が安心して悩みを分かち合い、支え合える場として続いています。
「話すのは緊張する…」という方もご安心ください。聞くだけのご参加も歓迎しております。
無理のない範囲で、ご自身のペースで参加できる身近な場として、ぜひご活用ください。
次回開催のお知らせ
次回のグループワークは、10月3日(土)です。
テーマ:特性を持つ家族への、家庭内での接し方
~片付けの問題も含めて~
たくさんのご参加をお待ちしております。