2026/10/12
2026年10月の発達障がいグループワーク
2026年10月3日、クリニック奥の多目的室にて、月例の発達障がいグループワークが開催されました。
今回は男性3名、女性4名、内ご家族の参加が3名のご参加がありました。
今月のテーマ
「特性を持つ家族への、家庭内での接し方」
~片づけの問題も含めて~
理事長によるミニ講義
グループワークの前半は、理事長によるミニ講義です。
今回は「特性を持つ家族への家庭内での接し方」をテーマに、日常生活で多くの方が困りごととして挙げる「片づけ」の問題から講義が始まりました。
片づけの問題をどう考えるか
片づけについては、いくつかの方法が紹介されました。
まず一つ目は、「片づけなくてもよい状態をつくる」という考え方です。
例えば、ゴミをなるべく出さない、使ったものはその都度、同じ場所に戻すといった方法です。書類などもため込まず、その日のうちに整理したり、パソコンで管理したりすることで、片づけるもの自体を増やさない工夫ができます。
その都度片づけることが一番よい方法ではありますが、実際にはなかなか難しいものです。
二つ目は、「まず一か所だけ、全部片づける」方法です。
家の中すべてを一度に片づけようとせず、まずは一つの部屋や場所に絞ります。そこが片づいたら、自分へのご褒美を用意するなど、達成感を得ながら進める方法もあります。
そして三つ目として、発達障がいの特性を踏まえた方法として、「スペースを区切る」ことが紹介されました。
まず、一番よく使う場所、例えばテーブルの上にあるものをいったんすべて下ろします。それを一か所に集め、必要なものを仕分けていきます。
「絶対に必要なもの」「必要かどうかわからないもの」「明らかに必要のないもの」に分け、必要なものには置き場所を決めます。
判断に迷うものは、半年から1年後に一度も使わなかった場合には処分する、というように期限を決めておく方法もあります。
ただ、こうした方法も、実際には「ちょっと面倒だな」と感じて、その辺に置いてしまうことがあります。
そこで大切なのは、「そもそもゴミをつくらない」こと。
家族の中で、まず親が「ゴミをつくらない」ことを意識して生活していれば、子どもも自然とその方法を身につけていくことができるというお話がありました。

また、「思い出のものだから」と取っておくことについても、今を生きることを大切にするという視点から、考えなおす必要があるとのお話がありました。
「服を片づけられず、つい後回しにしてしまう」という質問には、無理にきれいに畳まなくても、まずは家族ごとに分けておくだけでもよい、という具体的なアドバイスがありました。
一方、いわゆる「ゴミ屋敷」のような状態では、まず一度すべてを片づける方法が適している場合もあるとのことでした。
家庭を「安心できる場所」に
講義の後半では、家族への接し方についてのお話がありました。
発達障がいには遺伝的な要素がありますが、だからといってすべてを遺伝のせいにするのではなく、環境の影響も大きいことが説明されました。
理事長ご自身の子どもの頃の経験にも触れながら、現在はSNSなどによって、以前にも増して人から見られたり、評価されたりする機会が増えていることにも言及されました。
だからこそ、家庭は「安心して力を抜ける場所」であってほしい。
外ではさまざまな困難があっても、家に帰れば安心できる。そんな家庭環境をつくることが大切だというお話でした。

子どもの特性を否定しないことも重要です。
ただし、他人に危害を加えることや、自分自身を危険にさらすことなど、社会生活を送るうえで守るべきことについては、毅然とした対応が必要です。
その際にも、必要なことをきちんと伝えた後は、いつまでも叱り続けるのではなく、気持ちを切り替えられる関わりが大切とのことでした。
また、子どもを「褒めて育てる」という考え方について、具体的な家庭での場面を例に挙げながら説明がありました。
例えば、食事の時間になってもゲームを続けていて、すぐに食卓に来ない子どもに対して、来ないことを強く叱るのではなく、後から食卓に来たときには「来られたね」と認めてあげる。必要であれば軽く注意をしながらも、できたことをなるべく褒めるという関わり方です。
一方で、反社会的な行為や、他人や自分自身に危害を及ぼす行為については、きちんと叱る必要があります。ただし、その叱責をいつまでも引きずらないことも大切だと説明されました。
さらに、家族それぞれの発達特性の強さによって、家庭内で起こりやすい関係性にも違いがあることが示されました。
家族の中で特性の強さに差がある場合、互いの弱点を補い合うことで、よりよい関係を築けることがあります。これは親子だけでなく、きょうだい同士にも当てはまります。
「家族だから分かり合える」と考えるのではなく、家族だからこそ、それぞれの特性を理解し、できない部分を補い合うことが大切なのかもしれません。
講義中は参加者からの質問も多く、実際の家庭での困りごとをもとに、具体的なアドバイスが交わされました。
後半 グループワーク
後半の1時間は、参加者同士によるグループワークです。
今回も家族間でのさまざまな困りごとが取り上げられました。
「家の中での独り言が気になる」という相談には、独り言は自分の頭の中を整理したり、気持ちを吐き出したりするための行動である場合もあるとの説明がありました。
また、子どもに質問をしているだけなのに、本人には「叱られている」と受け取られてしまうなど、親子間のコミュニケーションについても経験が共有されました。
「うまくできなかったことを親のせいにしたい」という子どもの気持ちについても、それを頭から否定するのではなく、まずは受け止め、見守ることが大切ではないかという意見が出されました。
その経験を本人が整理し、前に進むきっかけになるのであれば、そうした気持ちを受け止めることも一つの方法です。
参加者同士がそれぞれの経験を共有する中で、「自分だけではなかった」と感じたり、他の家庭の工夫を知ったりする場面も見られました。
安心して語り合える場を目指して
月例のミニ講義とグループワークは、専門医から発達障がいについて学ぶだけでなく、それぞれの家庭で抱えている悩みや工夫を安心して共有できる場となっています。
一人ひとりの特性は異なります。だからこそ、家族の中でも「こうしなければならない」と一つの方法を当てはめるのではなく、お互いの特性を知り、できない部分を補いながら、その家庭に合った関わり方を探していくことが大切なのかもしれません。
「話すのは緊張する……」という方もご安心ください。聞くだけのご参加も歓迎しております。
無理のない範囲で、ご自身のペースでご参加いただける場として、ぜひご活用ください。
次回開催のお知らせ
次回のグループワークは、11月3日(土)に開催予定です。
テーマは、「ひきこもりや不登校について」
皆さまのご参加を、心よりお待ちしております。