2025年10月の発達障がいグループワーク

  • HOME
  • ブログ
  • 2025年10月の発達障がいグループワーク

2025年10月6日、クリニック奥の多目的室にて、月例の発達障がいグループワークが開催されました。
今回は男性2名、女性3名、初めて参加される方やご家族、支援事業所の職員の方の姿も見られました。

今月のテーマ
1.ひきこもりについて ~社会問題としての側面を考える~

理事長によるミニ講義

グループワークの前半は、毎回恒例の理事長によるミニ講義から始まりました。
今回のテーマ「ひきこもり」も、理事長の提案によって選ばれたものです。

講義の前半では、いわゆる「80・50問題(ハチマル・ゴーマル問題)」について解説がありました。
かつて“ひきこもり”は若者の問題として語られることが多かったのですが、長期化によって本人が50代を迎え、親が80代となるケースが増えています。
高齢の親が中年となった子どもを支え続ける、いわば介護の逆転現象が起きているのです。

理事長はその背景として、感染症による社会的孤立や、就職氷河期の影響、雇用の不安定化など、さまざまな要因が重なっていることを説明されました。
また、日本では「家族の中で問題を抱え込む傾向」や「世間体を気にする文化」が根強く、支援につながりにくい構造があることにも触れられました。
こうした文化的背景が、ひきこもりの問題をより複雑にしている――そのように理事長は語られました。

「ひきこもりは、決して“特別な人”だけの問題ではありません。
病気や失業、環境の変化、家庭の事情など、誰にでも起こり得ることです。
社会全体でどう支え合っていけるかが、これからの大きな課題です」と理事長は話されました。

講義の後半では、発達障がいがひきこもりの背景にある場合について言及がありました。
その場合には、適切な診断と治療によって改善が期待できること、また医療だけでなく、社会全体が当事者を受け止め支える環境づくりが欠かせないことが丁寧に説明されました。

講義中は特に「80・50問題」に関する質問が寄せられました。
参加者の皆さんが熱心にメモを取ったり、頷いたりしながら耳を傾ける姿が印象的でした。

後半 グループワーク

後半の1時間は、グループワークの時間です。
このグループワークでは、「困っていることを共有し、対処法を一緒に考える」ことを大切にしています。
参加者同士が意見を交わしながら、共感や学びを深めていきました。

後半:グループワークの画像

この日はミニ講義の内容を踏まえ、発達障がいを個人の問題としてだけでなく、社会全体の課題として捉える視点で質疑応答が行われました。

「ひとりで抱え込まないこと」「小さなつながりを持つことの大切さ」など、社会との接点を持つことの大切さに参加者から共感が寄せられました。

安心して語り合える場を目指して

月例のミニ講義とグループワークは、専門医による学びに加え、参加者同士が安心して悩みを分かち合い、支え合える場として少しずつ定着しています。
「話すのは緊張する…」という方もどうぞご安心ください。
聞くだけのご参加も歓迎しています。
無理のない範囲で、安心してご参加いただける身近な場としてご活用ください。

次回開催のお知らせ

次回のグループワークは、11月1日(土)に開催予定です。
昨年に続き、「発達障がい疾病理解講演会 第1部」を行います。
毎年YouTubeで配信している「発達障がいについて」のスライドをもとに、配信とはひと味違うリアル講演会ならではの事例紹介や質疑応答を予定しています。

(昨年の講演会の様子)

12月には「発達障がいについて 第2部」の講演も予定しております。
皆さまのご参加を、心よりお待ちしています。